就職活動に失敗したあるどこにでもいる大学生「僕」の話。

「こんなはずじゃなかった。なんでこうなったんだっ」

 

 

 

ある大学生がいました。

どこにでもいるような、ちょっとだけいい大学に入学した大学生の話です。

 

その大学生は入りたかった大学に見事合格。地元とは違う降り立つ駅の目新しさに、心を踊らせながら坂道を登り始めます。歩みを進めるたびに「きついこの坂も卒業するときにはいい思い出になっているんだな」と思いながら坂を進みます。「入学おめでとう」目に飛び込んでくる言葉が、自分が大学生になり、言いつけの厳しい家族から離れ、自由を謳歌できる気にさせます。

 

「新歓のご案内で〜す」先輩女子大生の黄色い声がキャンパス内に響いています。思わず一枚手に取ると横からスーと手が伸びてきて、僕の手の上に新歓案内のビラが積み上がって行きます。「うちのサークルこない?ラクロスやってるんだけど、君はサッカーやってたでしょ?」と、ラクロスのユニフォームに身を包んだガタイのいい先輩が声をかけてきました。「あ、急いでいるので」と、軽く嘘をつき勧誘を断ります。

 

そのあとも、「天文学研究会入らない?」「ゲーム作ってるんだけど、どう?」「バンドやろうぜ!!」「文化祭実行委員会やりませんか?」などなど、人生で経験したことのないモテ期が到来したんだと思いました。それでも、僕はどこにも所属しませんでした。

 

そんな感じで大学生活を1ヶ月。もう5月になろうとしていました。木々は新緑をまとい、初夏の季節を感じさせるくらいには気温がありました。履修登録をなんとか終わらせ、いよいよ本格的に大学生活が始まると思っていた矢先に、ふと変な焦りを感じました。

 

授業が終わると、「今日の行く?」「行く行く!!場所どこだっけ?」と、サークルに向かう人たちの会話を耳にした時のことです。

 

「あれ?なんか違う」「ま、いいや」と、流したこの感情が、やがて3年後に大きく響くことにその時は気づいていませんでした。

 

 

やがて月日は流れ、僕は4年生になりました。黒いリクルートスーツに身を包み、流れる汗でシャツを滲ませながらながら会社説明会へ向かいました。いよいよ就職活動です。

 

大学生活は、ひょんなことから始めた塾講師のアルバイト、ゼミの友達との飲み会、教職の免許を「就活に有利だから」という理由でとりました。たまに海外旅行にも行きました。外国籍の子どもたちにも勉強を教えるボランティア活動に参加もしました。

 

「あ〜充実していたな〜。大学生活もあと1年か〜。色々活動してきたし、きっと大丈夫だろう。まあ大学だし、悪くはないはず」「就職活動なんとかなるだろう」。

 

「よし、やりたい仕事を探そう」

 

就職活動が本格化し、僕は様々な業界を受けました。広告業界、旅行業界、教育業界、IT業界、人材業界、エンタメ業界、金融業界、新聞業界、公務員などなど、とにかくいろんなところに応募をし、手当たり次第に大手の企業から中小企業まで関係なしに受けました。

家族から「いい大学入ったんだから、いいところいきな!頑張ってね!高校で消防士になったあの子は頑張ってるでしょ!あなたも頑張りなさいね」と送り出される毎日が始まりました。

 

「なんとかなる」そう思っていた自分には”根拠のない自信”がありました。

 

 

就職活動ではエントリーシートという紙を書き、自分をアピールします。志望理由書とは違います。会社ごとに自分の持っている能力をPRするものです。面接会場に行き、自己紹介をします。そして面接官に色々と質問をされます。

 

「大学生活に頑張ったことは?」「なぜ志望したか」「この業界をどう思っているか」「1分で自己PRをお願いします」「最近の経済についてどう思いますか」「入ったらどう働きますか」「大切にしていることはなんですか」・・・・・・。

 

毎回違う会社で、毎回会社ごとに違う回答をしました。毎回会社ごとに自分のPRする部分を変えました。もちろん、会社の面接官が好みそうなセリフ、実績、経験から得た学びを回答しました。

 

「よし!!これはいけるかも!!」

 

と思えど、毎回あるメールがくる。

 

「この度は残念ながらご期待に添えない形となりました。今後の益々のご活躍をお祈りしております」

 

いわゆるお祈りメールってやつでした。

 

根拠のない自信を持ち、進み続け、特に自分を疑うことなく、”手当たり次第”会社を受けました。

 

夏になりました。8月です。最後の夏休みです。

僕は30社ほど入社試験を受け、気づいたらゼミの友達全員が内定を持っており、就職活動を終えていました。

内定を持っていないのは僕だけでした。

 

とても焦りました。「このままじゃ就職できない」「働けない」「僕に価値はないのか」と思い始めました。家族もだんだんと心配をし始めました。そしてなんとかある会社の最終面接まで漕ぎつけました。「よし!ここをとったらやっと終わらせることができる!頑張ろう」

 

最終面接の日。僕はある言葉に打ちひしがれました。

 

 

 

面接番号を呼ばれ、着慣れたリクルートスーツとカバンを片手に、ドアをノックします。

「失礼します」「どうぞお座りください」

普通の面接が始まりました。面接官の質問にも丁寧に答えました。最後に、「もし内定をもらえたら、入社しますか」と聞かれたら勝ちです。ほぼ内定がでると噂でありました。僕はその質問を心待ちにしていました。

しかし、面接官の口から飛び出してきた言葉に耳を疑いました。

「残念ですが、この場で選考を終わりにいたします」

「えっ」

自分でも言葉にしていることに気づかず、面接官は目を丸くしました。

「何がダメだったのでしょうか」と思わず尋ねました。

すると、

「君からは何かどこでもいいような回答が目立つ。根幹というか、君自身がどうしてもこの仕事、この業界に飛び込みたいという心が見えない。当たり障りのない回答ばかりだった。それにね、」

「学生生活から、この業界に飛び込みたいという実績が見えない。説得力がないんだよね」

 

僕は頼みの綱だった最終面接を終えて、帰路につきました。その日のうちにお祈りメールが着ました。

 

「説得力ってなんだろう。あんなにたくさんいろんなことをしたのに。それが無駄だってこと?」

「こんなはずじゃなかったっ」

 

 

 

その後、僕がどうなったのかはここでは語りません。

 

 

 

 

※これは半分フィクションで、半分ノンフィクションです。特に面接の様子、質問は事実となります。主人公の”僕”は筆者がこれまで出会ってきた、実際にいた大学生から聞いた話を混ぜ合わせた人物となります。なので、嘘を書いたただの小説ではありません。

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さて、この後、”僕”はどうなったのでしょう。

 

「説得力がない」

「心からの覚悟が見えない」

 

と言われた僕の就職活動は。人生はどうなるのでしょう。

 

 

最後にこの記事を読んだみなさんに質問です。

 

こうした言葉を浴びせられた、どこにでもいるような大学生の”僕”は、いったい何を大学生活にするべきだったのでしょうか。

 

 

答えは次の記事でご紹介します。

 

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